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COVID-19集中治療体制にかかわるタスクフォース 中間報告書

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COI(利益相反)

このページは日本医師会のご支援により2020年度に作成されました
(c)日本医師会

パンデミックにおいては、いかに死者数を少なく抑えるかは、最重要課題の一つである。このためには、感染の拡大防止、重症化防止、そして、命の最後の砦としての集中治療体制の維持が重要であることは、論をまたない。
本提言を作成するにあたり、集中治療専門家、救急医療専門家、呼吸器内科専門家、感染症専門家、医療機関団体代表者、さらには医療経済学者を交えて議論を重ねた。すなわちCOVID-19 のこれまでの経験から、パンデミック時における我が国の集中治療の抱える問題点を洗い出し、今後のあり方を検討した。
本報告書では、COVID-19 第2 波、第3 波に対する緊急の方策、ならびに今後における国家の危機管理としての集中治療のあり方についても、提言を行った。提言は総論と各論に分けて提示した。

エクゼクティブサマリー

  • 欧米での状況を見ても、COVID-19 の死者数を少しでも抑えるためには、集中治療供給体制の強化と維持が非常に重要である。
  • 我が国の集中治療のレベルは高く、救命率も非常に高いが、受入れ体制に余裕はほとんどなく、臨界点を超えると救命率の大幅な低下が懸念される。
  • 我が国の集中治療体制は、「ハコ、ヒト」に関して、欧米と比べて十分とは言えない。パンデミック時に、感染拡大状況に応じて、集中治療供給体制の拡大と強化が速やかに行えるシステムの構築が必要である。
  • 東京都では、第1 波の到来時に重症患者が急増したが、東京都に届けられている確保ベッド数と、実際に各医療機関が受け入れ可能とするベッド数の間に大きな乖離がある。
  • 患者急増に追われるようにして、受け入れベッドが増加した。実際の臨床現場では、収容先に常に苦慮していた様子がうかがえる。
  • 重症者は⾧期間ICU に滞在する。北海道では、第1波の影響が残ったまま第2波が重積し、ICU が限界に達した。波の高さのみならず、波の間隔をあけることの重要性がわかる。
  • 多数の人工呼吸器の同時連続使用による医療ガスの問題点などが、新たな懸念事項として浮上した。
  • ICU 等における「ハコ、モノ、ヒト」において、確保した重症管理用のハコが、本当に人工呼吸を行える環境であるか、各医療機関への医療ガスの安定供給体制に不安はないか、なども急ぎ調査が必要である。
  • ICU などの高度治療機能を強化することにより、実体経済へのマイナス影響を抑制することも期待される。集中治療体制の強化と医療従事者への負担を軽減するためにも、行政による財政支援が強く求められる。
  • 本提言では、他に下記の点についての考察と提言を行った。
    • 医療スタッフの確保と教育
    • 遠隔ICU の構築及び集中治療相談システムの有用性と運営のための体制整備
    • ECMO による広域搬送の有効性とその整備
    • 危機管理ツールとしてのCRISIS データ活用の有用性と運営のための体制整備
    • 集中治療専門医の段階的増員の必要性と専門医育成システムの確立

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