日本医師会 COVID-19有識者会議
WHO, 情報

WHO アップデート 第14報

中谷 比呂樹慶応義塾大学 特任教授WHO執行理事
COI:なし
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。

(2020年8月18日寄稿)

感染の拡大は世界的にも続いているが、国内における報道は、感染者数の割には静かである。

しかしPHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)が発せられて6ケ月以上が立ち、当初作られたガイダンスなどを、蓄積された知見に基づいて更新する時期となっている。今回はWHO本部が公表した、サーベイランスと在宅ケアに関する暫定ガイダンスと、WPROが作成した長期療養施設向けの啓発ツール集及び準備状況チェックリストを紹介する。

1 WHO本部暫定ガイダンス COVID-19に対する公衆衛生サーベイランス

(Public health surveillance for COVID-19: interim guidance)
 2020年8月7日

今までsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2)が引きおこす新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は以下の2つのガイダンスに基づいて行われてきたが、知見の蓄積を踏まえて、今般、両者を統合したこのガイダンスが公表された。

  • Global surveillance for COVID-19 caused by human infection with COVID-19 virus: interim guidance, 20 March 2020
  • Surveillance strategies for COVID-19 human infection: Interim Guidance, 10 May 2020

主要な変更点は以下の5点である。

  • suspected case (疑い例)及びprobable case(可能性例)の症例定義の変更
  • SARS-CoV-2に対する環境・血清学的サーベイランスの更新
  • 週報に盛り込む事項の変更(可能性例、医療従事者感染者数、感染者・死亡者の年齢階層)
  • サーベイランス情報の解析にあたってメタ・データーの重要性
  • グローバルなサーベイランスでは症例報告を中止し、総数の集計に移行

ガイダンスの構成は以下のとおりである。

  1. 背景
  2. 目的
  3. 定義集
    1. 症例定義
    2. 接触者定義(可能性例・確定例の発症前2日から発症後14日)
    3. COVID-19死亡定義
    4. 検査に関する勧告
  4. 加盟国への勧告
    1. 目的
    2. アプローチ
    3. 基本サーベイランス(症例、接触者追跡、ウイルス学的調査、死因調査、クラスター調査、血清学的調査)
    4. 追加的サーベイランス(イベント、電話相談、参加型調査、血清学的調査、人道援助現場、情報解析)
  5. WHOへの報告
    1. 目的
    2. データーの集計
    3. 毎週の報告事項
    4. 症例報告の中止
  6. 資料集

全文は以下からダウンロードできる。

2 WHO本部暫定ガイダンス COVID-19疑い・確定症例の在宅ケアと接触者管理

(Home care for patients with suspected or confirmed COVID-19 and management of their contacts:interim guidance)
 2020年8月13日

このガイダンスは、 2020年3月17日に公表された “Home care for patients with COVID-19 presenting with mild symptoms and management of their contacts”をアップデートしたものである。

主要な変更点は以下の5点である。

  • 医師が在宅ケアを考慮する際に配慮すべき点
  • 在宅ケアに必要な予防措置
  • 在宅患者の臨床モニターと治療
  • 廃棄物処理
  • 在宅ケア政策とガイドラインの効果的実施法を添付

ガイダンスの構成は以下のとおりである。

  1. 背景
  2. 在宅ケアの決断
    1. 医学的判断
    2. 自宅環境の評価(隔離とケア提供に適しているかBoxに具体的項目を列記)
  3. 患者宅でケアをする保健従事者への助言
    1. 予防措置
    2. 軽症例の治療(対症療法、既存の慢性疾患の薬物療法継続、増悪の傾向がないかのチェック、接触者の管理)
  4. 患者宅でケアをする介護従事者の予防措置に関する助言
  5. 文献

全文は以下からダウンロードできる。

3 COVID-19予防と対策;長期療養施設向けの啓発ツール集(COVID-19 infection prevention and control : communication toolkit for long-term care facilities)及び同準備状況チェックリスト(COVID-19 infection prevention and control : preparedness checklist for long-term care facilities)

このUpdate第12報で「WHO西太平洋地域ガイダンス:COVID-19の流行時における介護施設・非急性病院入所者および在宅の高齢者ケア改訂版(Guidance on COVID-19 for the care of older people and people living in long-term care facilities, other non-acute care facilities and home care)2020年7月23日」を報告したが、その補足資料として、啓発資料集と対応準備状況チェックリストが今般公表された。いずれも極めて具体的な内容になっているので、本邦においても雛型として利用できよう。

PDF版は以下からダウンロードできる。