日本医師会 COVID-19有識者会議
WHO, 情報

WHO アップデート 第16報

中谷 比呂樹慶応義塾大学 特任教授WHO執行理事
COI:なし
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。

(2020年9月7日寄稿)

1 WHO本部プレスリリース 172か国と複数のワクチン候補がCOVID-19世界ワクチンアクセス機構へ関与を表明

(172 countries and multiple candidate vaccines engaged in COVID-19 vaccine Global Access Facility)
 2020年8月24日

CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)、GAVi(ワクチンと予防接種のための世界同盟)およびWHOは、ワクチンの開発とその公平な配分を推進している。COVID-19ワクチンについては、専用メカニズムとして、GAVi内にCOVID-19世界ワクチンアクセス機構(COVAX: COVID-19 vaccine Global Access Facility)が作られた。GAViは基本的に低所得国および低位中所得国向けに定期接種用のワクチンを無償または安価に提供する組織であるが、このCOVAXでは、これらに加え、上位中所得国や高所得国も参加できる仕組みとなっている。その為、GAViの恩恵を受けている92ケ国に加え、日本を含む80ケ国が関心を明らかにした。参加コミットメントは9月18日に締め切られ、参加費用は10月2日までに振り込みが求められる。高所得国の資金は低所得国等を支援することにも使われることを承認するのが参加の前提となっているため、このメカニズムに参加する全ての国がワクチンへのアクセスを享受できると説明されている。平行して、GAViはワクチン製造者へ事前買い上げ保障を表明しており6億ドルの募金を得ている。これによってワクチンの購入価格の低減が図られることになっている。

因みに、今のところCEPIが開発支援しているワクチンは、以下の9つである。

  • Inovio, United States of America (Phase I/II)
  • Moderna, United States of America (Phase III)
  • CureVac, Germany (Phase I)
  • Institut Pasteur/Merck/Themis, France/ United States of America /Austria (Preclinical)
  • AstraZeneca/University of Oxford, United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland (Phase III)
  • University of Hong Kong, China (Preclinical)
  • Novavax, United States of America (Phase I/II)
  • Clover Biopharmaceuticals, China (Phase I)
  • University of Queensland/CSL, Australia (Phase I)

更に米・中から各2、英・韓・国際共同開発グループから各1の都合9つの追加のワクチン候補がある。

プレス・リリース全文は、以下から見ることができる。

2 WHO本部プレスリリース COVID-19に始まる保健データー改善技術パッケージ

(technical package to help countries improve health data for COVID-19 response and beyond)
 27 August 2020

COVID-19は、戦略的な対応を行うため、適時・信頼に足る保健データーを求めているが、多くの国で、データーの収集・解析について十分な体制が組まれていない。その為、WHOはSCORE(Survey:調査、Count:集計、Optimize:最適化、Review:評価、Enable:活用)を目指す保健データープラットフォームを各国が作ること、また、必要なツールを開発して加盟国に共有することとした。

SCOREは、WHOがBloomberg保健データー慈善財団と協力して開発したもので、90以上のツールや基準を網羅したものである。

その活用により:

  • 出生届をすれば保健サービス、教育、パスポート申請などが出来る様になる
  • 死亡統計が死因別により正確に把握できるため、COVID-19による真の死亡が把握できやすくなる
  • 保健データが年齢、性別、死因などに容易に分解され解析が出来る様になるので様々な格差が明らかになり政策の基盤となる
  • 保健施設の質の評価は容易になり、追加的資金獲得に役立つ
  • 保健データーが他のセクターの情報と合わせて評価できるようになるため、健康の社会的期待因子への対応が可能となる

このイニシアチブの開始にあたって、SCORE基本活動【Essential Interventions】とSCOREツールと基準集(Tools and Standards)が公表された。

関係文書全文は以下からダウンロードできる。 

Press Release

Score Essential Interventions 及びScore Tools and Standards

3 WHO 随時更新ガイダンス COVID-19症例へのステロイド剤使用 

(Corticosteroids for COVID-19 Living Guidance)
 2020年9月2日 

このガイダンスは、8つの二重盲目試験(症例数7184名)を国際パネルで検討したもので、勧告は2つ。

  1. 重症例(severe and critical cases)にはステロイド薬の全身投与(7~10日間dexamahasone 6mgを経口あるいは静注、あるいは、hydrocortisone 50mgを8時間毎静注)を推奨する。
  2. 重症例以外ではステロイド薬を推奨しない。重症例以外のスタロイド薬使用はむしろ死亡率をあげることが示唆されている。

ステロイド薬は、広く流通しているため、現実的・実用的な治療法が出来たとする一方、より長期の治療効果を見ながらガイダンスの見直しが行われる可能性にも言及している。 Annexに詳細な文献調査の表が付帯しており、臨床家の参考になるであろう。

全文は以下からダウンロードできる。